その日はありふれた土曜の夜でした。
マスコミ塾時代の友人たちとの女子会を終えて、駅でみんなと別れたあとに「ああ、今日も楽しかったしおいしかった」と大満足でひとり電車にとびのったら。
目の前に、いかにも渋谷にいそうなサングラスをかけてセットアップ着てるチャラい若いお兄さんがいて。
いかにも渋谷にいそうではあるんだけど、それにしては異様なオーラを身にまとっていていて…なんとなく違和感を感じながら、しばらく外を眺めるフリをしてチラチラチラチラ、お兄さんを見るわたし。
(…や、やっぱりそうだよな…?)
(ジュニア、だよな…?)
(某SトーンズのTなかJくんだよな?←隠す意味)
疑惑を少しずつ確信に変えようと、とにかく動揺を隠すようにしてスマホをいじり、ひたすらに最近の彼の髪型を検索。しかしいろんな説が出てきて、結局確信を持つにはいたらず。
(やっぱりそっくりさん…か…?本人に寄せてマネする渋谷のお兄ちゃんとかいそうだもんな。よく見たらだんだんそう思えてきたよ)
疑惑を確信に変えようとしてた自分をあっさりと裏切り、今度は自分の中でそっくりさん説が濃厚に。
不思議なオーラをまとった、クールでイケメンなそっくりさんと電車内で過ごす時間…
それは予想していた以上に長い時間となり、何駅経ってもお互い降りずにいました。
ここでまた、浮上する「やっぱり本人なんじゃないか説」。もうどっちでもいいからハッキリしたい!!!このモヤモヤがつらい!!!だれかわたしにズバッと言ってくれーーーーー!!!!
と、発狂しそうになってたところ、ここで救世主登場。
少し後ろに立っていた、女子中学生?高校生?とにかくわたしよりずっと若い制服姿の二人組が、こそこそとしゃべっていて。
そしてつぎの瞬間、声かけたんです!!!
そのそっくりさんに!!!!!
「応援してます」
会釈するそっくりさん。
え、応援されて会釈してるそっくりさんってなんなの?あなた誰なの?やっぱりホンモノなの?
ひ、ひゃああああああああ
ここでようやく疑いが確信へと変わり。ありがとう女子たち。これでわたしのモヤモヤは晴れて、気持ちよく電車を降りることができる。
(ん?待てよ、このまま何事もなかったかのように降りていいのか自分?想いを一言でもお伝えすべきではないのか?)
ここで、わたしの中でいくつかの案が思い浮かびます。まず声をかけるとして、声をかけるタイミング。いつ降りてしまうかわからないから今この瞬間すぐ声かけるか?少し様子を見るか?
次に声のかけ方。「あなただとわかってますよ」とアピールできる声のかけ方はないだろうか?Youtubeみてます、とかあの番組見ました、とか。いや、それはちょっとやりすぎだからもっと無難な声のかけ方のほうがよいのか…
さらに困ったことにそっくりさん…いや、彼はイヤホンをしていて聞こえてるのか聞こえてないのかわからない状態。一気に緊張感が高まる。
そして、とうとう来てしまった自分の降りる駅。
自分が降りるタイミングで、それとなく声をかける。もっともワザとらしくないこの方法が最善だろう。いくつかの選択肢の中で決意を固めたわたしは世界でいちばんつまらないセリフと共に彼に声をかけることになる。
「お仕事がんばってください」
なんだそれーーーーーーーー!!!!!
そこそこのジャニヲタでいつも彼のことを見ていてなんならグループの中でかなり推してるのに、出てきた言葉がこれって!究極のつまらなさよ!!!あなた!なにやってますの!!それでもジャニヲタか!はあー!あなたに期待したわたしがバカでしたよ!
と、いうわけでふがいない自分を反省しつつ、それでも会釈して応じてくれた彼に感謝をしつつ、わたしの土曜の夜は幕を閉じました。。
ジャニーズJr.に遭遇すると、人は確信を持てずに、そっくりさん説を濃厚に信じる。
そして、一般人モードなときにふいに出てくる自分の言葉は、とてもジャニヲタとは思えないつまらないもので、自分が自分に驚いてしまう。そんな考察結果を記録しておきたいと思います!みなさん遭遇された際には、ぜひ早めに気づき、とびっきりの素敵な言葉をかけてあげてください!(言うまでもなく、迷惑にならない範囲で)