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ジャニーズは夢の世界ではなく現実。うまく取り入れてヲタ活と日常生活のいいとこどりをゆるゆるめざしてます。

「わからないけど何かを感じる」アンダースタディ

【8/29追記】東京千穐楽の後、いちばん下に太字で追記してます…!千穐楽だから特別に、と3人が挨拶してくださった内容など会場の様子を少しでもおすそわけできればうれしいです!

 

 

舞台「アンダースタディ」8/21夜公演に行ってきました。
東京芸術劇場は久しぶりで。森田さんの「すべての四月のために」「FORTUNE」でプレイハウスには行ったことありましたが…シアターウエストは初めてでした。

 


300席もないくらいのこぢんまりした劇場で、小劇場も福ちゃんのストレートプレイを観るのも久しぶりで、ドキドキ。
「優秀病棟素通り科」の本多劇場よりも座席数少なかったみたいで、いかに贅沢な空間だったかを実感します。

 


以下、感想をつづりますがネタバレ含みますのでこれからご覧になる方は要注意!でお願いします。。

 

 

 

【ストーリー】
物語の舞台はブロードウェイ。フランツ・カフカの戯曲が上演されており、本役で出演しているのは映画スターのジェイク(和田琢磨)。舞台監督を務めるのはロクサーヌ谷村美月)。オーディションを経てジェイクの代役に決まったのがハリー(福田悠太)。代役のリハーサルのために、稽古場に集まる3人。それぞれに想いを抱えて、ぶつかりながらも公演の実現のためにリハーサルを進めるが、裏では大きな問題が起きていて……

 

 

 

セットもシンプルで、出演者はたった3人。
でも冒頭の始まり方からして一気にその世界観に引き込まれました。


たった一人で、冒頭から膨大なセリフを喋り倒す福ちゃんは圧巻。一人で舞台上を自由に動き回り、時には客席に語りかけるようにセリフを投げかけて。緩急のつけ方とかも絶妙で…福ちゃんが放つ存在感が、一気に空間を支配してました。


そのあとジェイク、ロクサーヌと一人ずつ登場して3人の掛け合いが始まっていくのだけど
とにかくお互いをまくしたてるような、激しい台詞のやりとりがすごい。これぞ感情のぶつかりあい。


特に印象的だったポイントを、つづります。

 

 


◻️「わからないけど何かを感じる」
このハリーのセリフに、福ちゃんも共感したとパンフレットでも語ってましたが…私も同じ感想を持ちました。
ストーリー自体はシンプルで難解さはないんだけど、カフカの作品との関係性を深く考え始めると何かこちらが気づいてないメッセージがたくさん込められてるのでは!?と思っちゃうんですよね。


私もカフカの作品をちゃんと読んだことないのですが、世の不条理をうたってるのかなとは、なんとなく理解して。


生きてる中で感じるどうにもならない不幸。不公平さ。納得のいかないことたち。結局はそういうことをカフカも表現していて。
だから私たちも「ときどきカフカと波長が合ってしまう」とドイツ文学者の川島隆さんもパンフレットで語られていて、まさに!と思いました。

 

 


◻️「いいもの」と「評価されるもの」の違い
物語の中でハリーは、アクションスターとして評価されるジェイクの演技を酷評します。
ジェイク自身も、アクションスターとして評価される自分と、自分が本当にやりたい演技の間に乖離があることに、悩んでいて。


つまり、「いい演技」が必ずしも「評価される」とは、限らない。そんな辛い現実があるのだと思います。
ハリーは「いい演技だ」と物語の中盤でジェイクに認められますが、知名度のないアンダースタディなので一般的には評価されません。ハリーがどれだけ優れた俳優でも、自ら演技に対して提案できる余地はなく、言われるがままにやるのが仕事。ロクサーヌがその現実をハリーに突きつけます。


これって、今のエンタメ界でも言えることで。
どれだけいい作品でも、知名度がなければ日の目を浴びないことはある。

一方、「ジャニーズ」という看板があれば、最低限の日の目を浴びることは、できる。


だから「ジャニーズ」に対していいイメージを持たない方は今でも多いのかなと思います。


でも、実はジャニーズの中にいる人だって悩んでいて、その中で日の目を浴びる・浴びないの格差はあるわけで。
そして、それは残念ながら実力と必ずしも比例しないわけで。。


ジャニーズの中で売れないとされてきたふぉ〜ゆ〜と重なり、考えさせられるシーンが多かったです。
外側からはジャニーズとしてカテゴライズされて見られるけど、中には中での葛藤があると福ちゃんもパンフレットの中で語ってましたね。

 

 


◻️ 「社会的な評価」と「自分の納得感、満足感」
評価されたら、自分としても納得感や満足感が得られるか?これも、必ずしも一致しないと思います。


ジェイクが自分の舞台作品のことを
「俺はスターだからみんな顔を見たくて見にくる」
っていうニュアンスのセリフがあって。


人々が自分の演技を見にきているのではなく、知名度のあるスターだから見に来ているのでは?という葛藤がジェイクにはあったのかなと思いました。

 

お目当てのアイドルを見に行くジャニーズファンは、考えさせられますよね。
このアンダースタディという作品も福ちゃん主演だから観に行ってるわけで。
このことについては以前にも書きましたが…
この葛藤はファンとして永遠にあるのだと思います。


このあたりはダブル・トラブルのときにもつづりましたのでご参考までに…↓

https://forestwisteria.hatenablog.com/entry/2021/05/04/011817

 

 


◻️ 社会的な評価と違うところで人はつながれる
この作品に希望があるのは、いろんな不条理がありながらも最後は3人の繋がりを感じられるところで。


人は誰か一人でも他者に認められることで生きていけるし、社会的な評価と関係なく、そういう人が一人いるいないかで世界は変わるんだと思います。

 

例えばハリーは過去のオーディションで「誰からも存在を認められず、無視された経験を持つ」と語ります。
そんなハリーも(実は元婚約者の)ロクサーヌにだけは認められてると感じ、彼にとって彼女は特別な存在でした。
たった一人、ロクサーヌがいるだけで「地に足がついているかんじがした」し、「君がいなくなって世界は変わった」と語るハリーが印象的でした。


そして、ハリーは最初対立していたジェイクからも最終的には認められます。
根底にある「いい演技」に対する思いが一致して、

互いに一気に認め合って距離が近づいていくジェイクとハリーは尊かったです。

 


最後には変えられない事実への怒りを持ちながらも、作品への思いが一致して一気に距離が縮まる3人の関係は希望に満ちていて。

 

社会的な評価と違うところで人はつながれる。

だから、有名になるとか金持ちになるとか人気になるとかじゃなく、
身近な人との関係性を大切にしていきたいなと自分自身も思いました。

 

 


なんだか抽象的な感想になってしまいましたが、コメディ要素も多いので
あまり深く考えすぎずに笑いながら、
「わからないけど何かを感じる」という自由な楽しみ方をすればいいのかなと思います。


最後に福田担視点で書かせてもらうと、
少し痩せすぎてて心配しつつも、その分堀の深い顔立ちや骨格が浮き出るシンプルな白のロンT姿には惚れ惚れでした…美しい…
デニムもMA1も汚れたスニーカーも無骨さが出てて、よく似合ってました。
あとロクサーヌにハリーが自らしに行くキスシーンはたまりませんでしたね。(ジェイクとロクサーヌの自然な流れでのキスシーンも対照的でこれもまたよかった…)


次に入るのは東京千穐楽。また追記あればつづります。

 

というわけでここから追記です。

全体的にアドリブがより自由になってたり、細かい流れに少しだけ変化があったような…より、わかりやすくなってたし「笑っていいんだ」って思わせてくれるシーンが多くて。自分が見たのが2回目というのもあったかもしれませんが、1回目よりも肩の力を抜いて見ることができました。

 

◻️ラストのダンスシーン

ラストに3人でダンスするシーン、好きだなあとあらためて。(そもそも曲がなんとも言えないエモさがあってそれだけでグッときてしまう…)
社会的な地位とか、業界のしがらみとか、全部とっぱらって大人の無邪気さが全面に出る3人。
最初はハリーだけがその感じを出すのですが、少しずつ2人を巻き込んでいく感じがあって、そんなところにロクサーヌも元々は惹かれたのかなと思ったり…
どれだけ振り回されても(婚約破棄されて6年間音信不通はやばいけど…)才能と情熱がある永遠の少年のような男性に惹かれやすい女性の気持ちって、ありますよね。
ジェイクとハリーが互いに「ロクサーヌのこと好き?好きってそういう好き?」って聞き合うのが無邪気な少年たちの会話すぎて、微笑ましすぎました…

 

 

◻️それぞれのキスシーン

ジェイクとロクサーヌが、お芝居というフィクションの設定を使って会話だけで距離を縮めてキスにまで至るの好きでした。展開がおしゃれで、外国の作品ならではのかんじもありますよね。
ちょっと感情的すぎるところはあるけど、ほんとは愛されたいし甘えたいのに強がってしまうロクサーヌ、愛しいし共感するところもあるなあ。。
ハリーに壁ドンでキスされたあともすごい勢いで反発してたけど、されてる時間の長さを考えると嫌じゃなかったんだろうなあとも…

今日はいちばん端のキスシーン側の席だったのでよく見えて(笑)静かに興奮してました。

 

 

◻️カーテンコールの挨拶

東京千穐楽ということで特別に許可が出たとのことで最後3人から挨拶。和田さんからは劇場に向かうとき、鳩のフンが肩に落ちてきてびっくりしつつも恥ずかしかったという話。スタッフさんからは「運がつきましたね」と言ってもらえたと!(本編のアドリブでもネタにしてました笑)

確率的には相当すごいらしい、と和田さんが言うと「今の、カフカっぽい!」とコメントし、会場から拍手をもらって満足げな福ちゃんでした。笑

 

「和田さんがうらやましいので誰か僕にもフンを投げつけてください!(動揺しつつ笑う観客)どう反応していいかわからないボケをしたかったので今日は満足です」といつもの福田節を挟みつつ。

 

「2週間あくので台詞忘れないようにしないと…大丈夫かな(不安気)」「大阪公演どうなるか気になるでしょ?いいんですよみなさん来ていただいても!」と言ってましたがあらためて、他の作品と並行してあの台詞量は尊敬でしかないですよね。(一体どうやって覚えてるのだろう…)

 

ハリーはますますパワーアップして深みが増していくんだろうなと思うと大阪公演が気になりすぎます!!

 

口下手でうまくしゃべれないとおっしゃりつつ、「この状況下で東京公演を無事終えられて安心している。羽を伸ばしすぎないように大阪公演まで気を引き締めます!」な谷村さんかわいらしかったです!そして爽やかな笑顔で手を振りながらハケる和田さんがあまりにも素敵でときめきました…

 

3人の空気感がよくて、あの3人が作り出す世界を狭い会場で堪能できるのが贅沢すぎたこの作品。

この状況下ではありますが、最後まで無事上演されることと、一人でも多くの人に作品が届くことを願ってます。